三重の40代飲食店オーナー、友人紹介のFXで480万円失った話
三重県津市の居酒屋経営Iさん(仮名・45歳男性)がコロナ禍の売上減を取り戻そうと始めたFX。2年間の含み益が2024年8月5日の急落で消え、店の運転資金100万円を投じた2日後に480万円を失った記録。
「『来月の売上で戻せる』って、あの時は本気で計算が立ってたんです。いま思えば、計算じゃなくて祈りでした」
Iさん(仮名・45歳男性)は三重県津市で居酒屋を営む個人事業主。2024年8月、FXで480万円を失った。そのうち100万円は、店の運転資金だった。
コロナで半減した売上と、高校の友人
Iさんの店は2020年からの2年間で売上が半分近くまで落ちた。雇用調整助成金などでしのいだが、店の自己資本は確実に目減りしていた。
2022年、高校時代の友人と久しぶりに飲んだ。FX歴5年だという友人は、スマホのチャートを見せながら言った。ドル円のロングで、寝てる間に増える、と。
「銀行に置いといても増えないのは確かだったし、何より、店の数字を毎日見てると焦るんですよ。何かで取り戻さないと、って」
その年、Iさんは300万円を入金した。ドル円の買い、レバレッジは8倍前後。
2年間は、正しかった
結果から言えば、2024年7月までの2年間、Iさんの判断は相場の上では正しかった。ドル円は130円台から161円まで上がり続け、口座の評価額は450万円まで育った。
「店より稼ぐ月もありました。仕込みの合間にチャートを見るのが癖になって、正直、店の営業より楽しかった時期もあります」
2024年8月5日
その日、日銀の利上げを引き金に、ドル円は歴史的な急落に巻き込まれる。後に「令和のブラックマンデー」とも呼ばれた日だった。
Iさんの口座の含み益は、朝の時点で消えていた。含み損はランチ営業の間も膨らみ続けた。
「ここで切る、という発想にならなかった。2年間ずっと、下がっても戻ってきたから。むしろ買い場だと思って、金をどこから持ってくるかだけ考えてました」
夕方、Iさんは店の運転資金から100万円を口座に移した。来月の売上で戻す前提だった。
8月7日、強制ロスカット。残高約20万円。損失、約480万円。
店の金に開いた穴
運転資金の100万円は、仕入れと家賃の支払いに直結する金だった。Iさんは個人で融資を受けて穴を埋め、妻には全部終わってから打ち明けた。
「女房は店の手伝いもしてるんで、帳簿を見ればいずれ分かる話なんです。怒られたのは、損したことより、黙って店の金を動かしたことでした」
480万円の行き先
| 投入総額 | 500万円(2022年の300万+運転資金からの100万+それまでの利益再投入分) |
|---|---|
| ピーク評価額 | 約450万円(2024年7月・ドル円161円) |
| 結末 | 2024年8月7日 強制ロスカット・残高約20万円 |
| 実質損失 | 約480万円(うち100万円は店の運転資金→個人融資で補填) |
いま
FX口座は解約した。店は続いているが、運転資金の余裕は薄くなり、Iさんは営業後に配送のバイトを入れている。
「店の金と自分の金の境目が、頭の中で曖昧になってた。個人事業主って、そこが一番危ないんだと思います。売上が減った分を相場で取り返すって発想自体が、もう博打でした」
Iさんの体験から、整理できること
編集者注:以下はIさん個人の体験から整理した視点で、当サイトからの投資助言・売買推奨ではない。投資判断は読者本人の責任で。
心理と反省ポイント
- ロスカットは保険であって敵じゃない。動かす方向を間違えると一晩で口座が空になる。
- 指標発表の前後は流動性が抜けて、設定したロスカット幅を素通りすることがある。
- 深夜の30分だけのトレードは、判断疲れが乗ったまま画面に向かう時間でもある。
もう一度選び直すなら
失敗した道具・口座・サービスを今からどう選び直すか。
比較記事で軸を整理してから動くと、同じ罠を踏みにくい。
専門家に相談する
ひとりで抱えると判断が鈍る。
被害の状況や生活設計の悩みは、その道のプロに早めに話す方が結果的に軽くなる。