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親友の紹介で始めた『絶対安全』のEUR/CHF取引、2015年スイスフランショックで850万円消えた60代女性

神奈川県在住の60代女性Sさん(仮名・元銀行員の夫の遺族)が、親友の紹介で始めたユーロ/スイスフランの売りポジション。SNB(スイス中銀)が長年維持してきた1.20の防衛ラインを2015年1月15日に突如撤廃、EURCHFが瞬時に30%下落。850万円の損失と、親友との関係も失った。

属性64歳女性・神奈川県 損失額¥8,500,000-
約 7 分で読めます(3,021字)
目次
  1. 夫の死と遺産
  2. 親友からの紹介
  3. 1.20の防衛ライン
  4. 2013年から2014年末までの安定運用
  5. 2015年1月15日
  6. 親友との関係
  7. その後の生活
  8. 振り返り:3つの教訓
  9. 取材記録
  10. 管理人の感想
  11. 返金可能性
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Sさん(仮名・64歳女性・神奈川県)から届いた話。2015年1月15日のスイスフランショックで、ユーロ/スイスフランの売りポジションが瞬時に強制決済され、850万円の損失を被った経緯。

取材は2024年秋から半年かけて行った。Sさんが「同じ世代の女性に伝えたい、特に夫を亡くした後の判断は危ない」と希望されたため、地名と紹介者の所属以外は実情を残してある。

夫の死と遺産

Sさんの夫(元都市銀行員)は、2012年に病死した。Sさんは当時61歳。子供(30代男性)は既に独立して隣県に住んでいた。

夫の遺産は、生命保険・退職金・夫名義の預金合わせて約3,800万円。これに加えて、Sさんは夫の遺族年金で月約12万円を受け取っていた。住宅は持ち家・住宅ローン完済済み。生活には困らない経済状況だったが、Sさんは「何かをしていないと、夫の死を思い出してつらい」という心理状態だった。

親友からの紹介

夫の死から半年後の2013年春、Sさんの長年の親友(同年代女性・夫が同じ銀行の元同僚)が、「FXを始めてみない?」と誘ってきた。親友は夫が定年退職した後、夫婦で2010年からFXを始めていて、年間200-300万円の利益を出していると話していた。

「親友は私が夫を亡くした後の心配をしてくれて、何か気を紛らわせるものを、と勧めてくれた。投資の話というより、寂しさへの対処、という感じだった」

親友が勧めたのは、「ユーロ/スイスフランの売り(EURCHFショート)」という戦略だった。「スイス中央銀行(SNB)が為替を1.20ユーロで人為的に固定しているから、これより上に行くことはない。だから売りで持っていれば、徐々に下がってきた時に利益が出る」という説明だった。

1.20の防衛ライン

当時のEURCHF相場は、確かに親友の説明通りだった。2011年9月にSNBが「1ユーロ=1.20スイスフラン」を防衛ラインとして発表。それ以降、相場は1.20に張り付いて、ほとんど動いていなかった。

FX界隈では「SNBが買い支えている限り、1.20より下にしか動かない」「無リスクでスワップポイントが取れる」として、EURCHFのショート(売り)戦略が広まっていた。

Sさんは2013年6月、夫の遺産から800万円を国内大手FX業者の口座に入金。EURCHFを大量に売り建てた。レバレッジは10倍程度。

2013年から2014年末までの安定運用

2013年〜2014年末まで、EURCHFは1.20〜1.23の狭いレンジで推移していた。Sさんの口座は、評価益込みで一時1,050万円まで増えた。日々のスワップポイントも入っていた。

「親友と毎週カフェで会って、『今月いくら増えた?』と話すのが楽しみだった。夫を亡くしてから一番楽しい時間だった」

2015年1月15日

2015年1月15日(木)、日本時間18時30分頃、SNBが緊急発表を行った。「対ユーロのフロア(1.20防衛ライン)を撤廃する」。市場は完全に予想していなかった。

EURCHFは発表から数分で、1.20から0.85付近まで暴落。約30%の急変動。FX市場の歴史で類を見ない動き。

当時、Sさんは夕食を作っていて、相場を見ていなかった。19時頃、リビングのテレビで「スイスフラン急騰」のニュースを見て、初めて何が起きているか気づいた。FX口座のアプリを開いた時、口座は既に強制ロスカットが執行されていた。

口座残高:約20万円。入金合計1,000万円(当初800万+追加200万)。差し引き約980万円の損失。さらに、ロスカット時に流動性が枯渇していたため、本来のロスカット水準を大きく超えた値で決済されており、口座残高がマイナスになる可能性もあった。当該FX業者は後日、マイナス分は徴収しない方針を発表したため、Sさんの実質損失は850万円程度に留まった。

親友との関係

翌日、Sさんは親友に電話した。親友夫妻も同じくEURCHFのショートで大損していた。電話では涙ながらに「ごめんなさい、こんなことになるなんて」と謝られた。

その後、二人の関係は徐々に疎遠になった。「お互い、相手の顔を見ると、あの日の損失が思い出されて、楽しい話ができなくなった」とSさんは振り返る。

10年以上の親友関係が、半年ほどで自然消滅した。

その後の生活

Sさんは2015年2月にFX口座を解約。残った遺産2,800万円のうち、運用は一切やめて、全額預金に戻した。

2015年3月から、Sさんは地域のボランティア活動に参加し始めた。子供食堂のスタッフ、独居老人の見守り、地域図書館の本の整理。報酬はないが、人との関わりが戻ってきた。

「850万円は、今も思い出すと胸が痛む。でも一番つらいのは、親友を失ったことだった。お金は残っているけど、あの頃の楽しさは戻ってこない」

振り返り:3つの教訓

Sさんから取材の最後にいただいた、同じ世代の女性に向けた3つの教訓。

1. 配偶者を亡くした直後の判断は、必ず一拍置く
夫を亡くした後の半年から1年は、寂しさを紛らわすために何かを始めたくなる。投資はその「何か」に向かない。一拍置いて、頭が冷えてから決める。

2. 『絶対安全』『無リスク』は金融市場には存在しない
中央銀行の介入による相場固定は、いつか撤廃される。撤廃される時、あなたが反対側に立っていたら、瞬時に致命傷を負う。「無リスクで利益」が成立する余地は、経済学的にない。

3. 親友を投資に巻き込まない・巻き込まれない
同じ商品を持つと、同じタイミングで損する。損した後、関係は元に戻らない。親友との関係を守るためには、お金の話と感情の話を混ぜない。

LESSONS & CONSIDERATIONS

Sさんの体験から、整理できること

編集者注:以下はSさん個人の体験から整理した視点で、当サイトからの投資助言・売買推奨ではない。投資判断は読者本人の責任で。

A
REFLECTION

心理と反省ポイント

  • ロスカットは保険であって敵じゃない。動かす方向を間違えると一晩で口座が空になる。
  • 指標発表の前後は流動性が抜けて、設定したロスカット幅を素通りすることがある。
  • 深夜の30分だけのトレードは、判断疲れが乗ったまま画面に向かう時間でもある。
C
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