京都の自営業が取引先の紹介で始めたトルコリラFX、2022年で720万円消えた話
京都市内で印刷業を営む40代男性Mさん(仮名)が、長年の取引先社長から紹介されたトルコリラ円のスワップ運用で720万円の損失。2022年12月の史上最安値局面で建玉が強制決済された。取引先との関係も気まずくなった。
Mさん(仮名・47歳男性・京都市内で印刷業を経営)から届いた話。長年の取引先社長から紹介された、トルコリラ円のスワップ運用で720万円を失った経緯。
取材は2024年初に始まり、半年かけて整えた。地名と業種の細部以外は実情を残してある。
取引先の紹介
Mさんは京都市内で印刷会社を経営している。創業は祖父の代で、Mさんは三代目。取引先は地元の中小企業が中心で、長年の付き合いの会社が多い。
2018年の春、地元の同業組合の集まりで、Mさんは取引先の社長(70代男性・建設業)から「ちょっといい運用知ってるんだけど」と声をかけられた。社長はFX歴10年と話していて、「トルコリラのスワップ運用で年8%は固い」と熱心に勧めてきた。
「断りづらかった、というのが正直なところ。長年の取引先で、毎月数百万円の発注をいただいている関係なので」
500万円の入金
2018年9月、Mさんは某国内FX業者の口座を開設。会社の運転資金から500万円を一時的に借りる形で入金。トルコリラ円のレバレッジ5倍で約2,500万円分のロング。
2018年から2021年まで、リラ円は20円→13円→11円→9円と段階的に下落。Mさんは含み損が膨らむたびに「来年には反発する」「スワップポイントで補える」と自分に言い聞かせていた。
2020年と2021年に、それぞれ150万円ずつ追加入金。合計入金額800万円。
2022年の最終ロスカット
2022年は、トルコのインフレが年85%まで加速。エルドアン大統領は利上げではなく利下げを継続。リラ円は年初の8円台から、12月には5円台まで急落。
Mさんは2022年6月にも200万円を追加入金して、ロスカットを回避していた。総入金額1,000万円。
12月20日、リラ円が5.20円に到達。Mさんの口座は強制ロスカット執行。残高約280万円。差し引き720万円の損失。
取引先との関係
Mさんは取引先社長に、ロスカットの結果を報告した。社長は「俺もやられた」と笑っていたが、その後の付き合いは微妙に変わった。
「同じ失敗をした者同士、励まし合うかと思ったが、お互い顔を見ると思い出すので、自然に距離が空いた。発注は続けてくれているが、雑談はほとんどしなくなった」
その後
会社の運転資金から流用していた500万円を、Mさんは個人の貯金から会社に返済した。残額220万円は、会社から借入として処理して、毎月10万円ずつ返済している。
FX口座は2023年1月に解約。会社の経理を妻に任せている都合上、妻にも経緯を全部開示した。「会社の運転資金に手を出すのが一番危なかった、と妻に言われた」
振り返り:3つの教訓
1. 取引先からの投資勧誘は、取引関係とは切り離して判断する
取引先からの紹介は、断りづらい心理が働く。投資判断と取引関係を、紙の上で完全に分けて考える訓練が必要。
2. 自営業者は『会社のお金』と『個人のお金』を絶対に混ぜない
運転資金からの一時流用は、税務的にも経営的にも問題。投資は完全に個人資金の範囲で。
3. 含み損が出てから『追加入金で平均取得単価を下げる』は、傷を倍にする
ナンピン買いは、相場が反発する場合だけ機能する。下げトレンドでのナンピンは、損失額を加算するだけ。
Mさんの体験から、整理できること
編集者注:以下はMさん個人の体験から整理した視点で、当サイトからの投資助言・売買推奨ではない。投資判断は読者本人の責任で。
心理と反省ポイント
- ロスカットは保険であって敵じゃない。動かす方向を間違えると一晩で口座が空になる。
- 指標発表の前後は流動性が抜けて、設定したロスカット幅を素通りすることがある。
- 深夜の30分だけのトレードは、判断疲れが乗ったまま画面に向かう時間でもある。
もう一度選び直すなら
失敗した道具・口座・サービスを今からどう選び直すか。
比較記事で軸を整理してから動くと、同じ罠を踏みにくい。
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被害の状況や生活設計の悩みは、その道のプロに早めに話す方が結果的に軽くなる。