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トルコリラのスワップ狙いで320万円溶かした30代会社員の話──2022年史上最安値の朝

30代男性会社員Tさん(仮名・東京)が、YouTube広告で知ったトルコリラのスワップポイント狙いで500万円を投入。2022年12月の史上最安値で320万円をロスカット。配偶者に黙って始めた取引の顛末と、住宅ローン返済中の家計への影響。

属性34歳男性・東京都 損失額¥3,200,000-
約 8 分で読めます(3,810字)
目次
  1. 2022年のトルコリラ相場
  2. YouTubeの広告
  3. 500万円の入金
  4. 10月、11月の安定運用
  5. 12月12日からの暴落
  6. 12月20日の朝
  7. 配偶者への告白
  8. その後の生活
  9. 現在
  10. 振り返り:3つの教訓
  11. 取材記録
  12. 管理人の感想
  13. 返金可能性
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Tさん(仮名・34歳男性・都内IT企業勤務)から届いた話。2022年の終盤、トルコリラ円のスワップポイント狙いで投入した500万円のうち、320万円を5日間で失った経緯。

このサイトを始めるにあたって、最初に取材させていただいたのがTさんだった。投稿者本人の顔が見える形で記録に残したい、という要望から、地名と勤務先以外は実情を残す形で掲載させていただいている。

2022年のトルコリラ相場

2022年の世界経済は、米国の大幅な利上げと、ロシアによるウクライナ侵攻で大きく揺れていた。各国の中央銀行が次々と利上げを進める中、トルコ中央銀行だけは逆走していた。

当時のトルコのインフレ率は年85%。普通なら金利を上げてインフレを抑えるところを、エルドアン大統領の意向で利下げを続けた。結果、トルコリラは年初から年末で対円で約30%下落。年間政策金利は9%、市中の預金金利は20%超え、という極端な状況だった。

FX界隈では、この高金利通貨を買って円を売れば、毎日「スワップポイント」(金利差調整分)が入る、という運用が一部で広まっていた。リラ円1万通貨で1日30〜50円程度のスワップ。10万通貨持てば日次300〜500円、月1万円超え。元本500万円、レバレッジ4倍で200万通貨持てば、月10万円のスワップ収入が見込める計算だった。

YouTubeの広告

Tさんが最初にトルコリラを知ったのは、2022年の夏。会社の昼休みにスマホでYouTubeを見ていた時に流れた広告だった。「FX高金利通貨で月10万円の不労所得」という見出しで、スーツ姿の男性が「私はこの方法で会社を辞めました」と話す動画。

広告主は某FX情報商材の販売者。動画から無料LINE登録に誘導され、Tさんも登録した。LINEでは毎日トルコリラ相場の解説とスワップ計算の動画が送られてきた。

「半年間、毎日LINEを見ていました。情報商材自体は29,800円で、買おうかどうか迷っていたんですけど、結局買わずに、自分で書籍とネット記事で勉強して、9月に口座を開設しました」とTさんは話す。

500万円の入金

口座を開設した先は、トルコリラ円のスワップポイントが業界最高水準だったA社(仮名・国内大手FX業者)。Tさんは住宅ローン繰上げ返済用に貯めていた500万円を、配偶者に相談せずに送金した。

「妻はFX反対派なので、後で結果を出してから話そうと思っていました。月10万円稼げれば、住宅ローンの繰上げ返済より効率がいい、という計算もあった」

9月のリラ円は1リラ=7円台前半。Tさんはレバレッジを抑えて、約4倍で200万通貨を建てた。日次のスワップポイントは約400円。月に直すと約12,000円。当初の見込みより少なめだったが、それでも年14万円の不労所得という計算で、Tさんは満足していた。

10月、11月の安定運用

9月から11月までの3か月間、リラ円は7円〜6円台後半でゆるやかに下落。Tさんの含み損は徐々に増えていったが、毎日入るスワップポイントが心理的な支えになっていた。

「スワップが日々増えていくのを見るのが楽しかったんです。含み損は出ていましたけど、長期で持てばいつかリラが反発する、と信じていました」

LINEに登録した情報商材販売者からは「トルコ中銀の利上げ転換は近い」「リラは底打ち間近」というメッセージが定期的に届いていた。Tさんはそれを信じていた。

12月12日からの暴落

2022年12月12日、トルコリラ円は前週末比で大きく下落して始まった。終値で6.95円。13日に6.80円、14日に6.65円。Tさんの含み損は120万円を超えた。

Tさんは追加証拠金を入金して、ロスカットを回避した。住宅ローン返済用に残していた手元現金から、80万円を追加入金。配偶者には引き続き話していなかった。

15日、トルコ中央銀行が政策金利を発表。市場予想では「現状維持か小幅利上げ」だったが、結果は「現状維持」。利下げサイクル終了の示唆もなかった。リラは即時に対円で6.30円台まで急落。

16日、リラ円は5.95円。Tさんはさらに50万円を追加入金。手元の現預金は残り30万円程度になっていた。

「この時点で妻に話せば良かったんです。でも怖くて話せなかった。話したら全部終わる気がして」

12月20日の朝

12月20日、Tさんは普段通り朝6時に起きた。スマホでFX口座のアプリを開いた瞬間、画面に大きな赤字が出ていた。

「強制ロスカット執行済み」

夜間、リラ円は瞬間的に5.20円台まで急落していた。Tさんが設定していたロスカット水準を割り込み、自動でポジションが決済されていた。

口座残高:1,810,000円。入金額の合計は5,300,000円(当初500万+追加130万+20万)。差し引き350万円の損失。スワップポイントで受け取った約3万円を差し引くと、実質的な損失は約347万円。

「画面を見て、しばらく動けませんでした。会社に行く準備をしながら、自分が今、何を見ているのか整理できなかった」

配偶者への告白

その日の夜、Tさんは配偶者にすべてを話した。会社から帰って、子供を寝かしつけた後、リビングで。

配偶者の反応は、怒りよりも先に困惑だったという。「うちの貯金、住宅ローンの繰上げ返済用に取ってあったお金、それが消えたってこと?」と何度も聞き返された。

その夜、夫婦で家計を一から見直した。住宅ローンは35年ローンの残り28年、月々約11万円。子供の教育費の積立、車のローン、生活費。手元の残預金は40万円。月の生活費はギリギリで赤字に転落する寸前だった。

その後の生活

Tさんはまず、すべてのサブスクリプションを解約した。動画配信2社、音楽配信1社、有料アプリ4本、月額合計約4,500円。次に、家族で入っていたスポーツジムを解約。月8,000円。配偶者の美容院の頻度を減らしてもらった。

毎月の生活費を約3万円圧縮した。それでも住宅ローンと教育費の積立を維持するには、賞与でしか黒字化できない構造だった。

FX口座は2023年1月に解約。残った約180万円は、現金で住宅ローン繰上げ返済に充当した。情報商材販売者のLINEはブロックして、関連動画はYouTubeから「興味なし」設定で全部排除した。

現在

取材時点(2025年)、Tさん夫婦は順調に家計を立て直している途中。住宅ローンは予定より3年遅れる見込みだが、致命的なダメージは避けられた。配偶者は「あれは家庭崩壊の一歩手前だった」と話す。

Tさん本人は「FXは二度とやらない。投資自体も、つみたてNISAだけに絞った」とのこと。

「LINEの『商材販売者』は、結局自分が高値で売り抜けるための買い手集めをしていただけだったと思います。月10万円のスワップは事実だけど、元本が30%減価したら計算が成り立たない。それを伝えない動画ばっかりでした」

振り返り:3つの教訓

Tさんが取材の最後に話してくれた、同じ失敗をしないための3つの教訓。

1. 高金利通貨は「元本リスクとセット」で考える
金利が高い通貨は、それだけ通貨価値の下落リスクがある。スワップ収入の計算だけでは投資判断できない。年20%のスワップ収入があっても、元本が年30%減価したら手取りはマイナス。

2. レバレッジは「思っているより小さい」設定にする
4倍は安全圏と思っていたが、リラのような新興国通貨では十分に大きいレバレッジだった。新興国通貨は1倍、つまり現物換算でしか持たない、というのが今のTさんのルール。

3. 投資は配偶者と共有する
「妻に話していたら、500万円を全額投入する判断にはならなかった。家族が知らない投資は、隠し事になった瞬間に判断が歪む」

LESSONS & CONSIDERATIONS

Tさんの体験から、整理できること

編集者注:以下はTさん個人の体験から整理した視点で、当サイトからの投資助言・売買推奨ではない。投資判断は読者本人の責任で。

A
REFLECTION

心理と反省ポイント

  • ロスカットは保険であって敵じゃない。動かす方向を間違えると一晩で口座が空になる。
  • 指標発表の前後は流動性が抜けて、設定したロスカット幅を素通りすることがある。
  • 深夜の30分だけのトレードは、判断疲れが乗ったまま画面に向かう時間でもある。
C
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