退職金前運用、新潟の50代会社員が2020年コロナショックで920万円失った話
新潟県長岡市の50代男性会社員Tさん(仮名)が、退職を控えて『退職金の予行演習』としてFX運用を開始。2020年3月のコロナショックで920万円を失い、退職金支給後の生活設計が大きく変わった。
Tさん(仮名・57歳男性・新潟県の製造業会社員)から届いた話。3年後の退職を控えて『退職金の運用予行演習』として始めたFXで、2020年3月のコロナショックで920万円を失い、退職後の生活設計が大きく変わった経緯。
取材は2024年に開始。Tさんは『退職前の世代向け警告』として取材を引き受けてくれた。
退職前の予行演習
Tさんは60歳定年の予定で、退職金は約2,200万円を見込んでいた。退職後の生活費を補うため、退職金の半分(約1,000万円)を運用する計画を持っていた。
「いきなり退職金を運用するのは怖いので、退職前に小規模で練習しよう、と思った。3年あれば運用を学べる、と考えた」
2019年の口座開設
2019年1月、Tさんは某国内FX業者の口座を開設。手元の貯金から800万円を入金(家計の貯金1,500万円のうち半分強)。米ドル/円のレバレッジ5倍程度で運用開始。
2019年〜2020年2月、ドル円は108円〜112円のレンジで推移。Tさんの口座は順調に伸びて、評価益込みで1,050万円まで増えた。
2020年3月のコロナショック
2020年3月、コロナの世界拡散で為替が乱高下。ドル円は112円台から3月19日には101円台まで急落(その後反発)。
Tさんは含み損が膨らんだ3月12日、追加で200万円を入金して、ロスカットを回避する措置を取った。総入金額1,000万円。
3月19日、ドル円が101円台に到達。強制ロスカット執行。残高約80万円。差し引き約920万円の損失。
退職計画の修正
Tさんは2022年末に60歳で定年退職。退職金は予定通り約2,200万円。ただし、貯金が大幅に減少していたため、退職金全額を運用に回すのではなく、預金で守る方針に変更。
「失った920万円を取り戻す方法はない。それを前提に、残った資産で老後を組み立てる必要があった」
当初の予定だった海外旅行・住宅リフォーム・車買い替えは、いずれも縮小・延期。
その後
FX口座は2020年4月に解約。退職後はパート勤務(週3日)で月約8万円の収入を得つつ、年金支給開始(65歳)まで5年間のブリッジ期間を進行中。
「予行演習のつもりが、本番より大きな損失だった。本番に行く前に試合終了した」
振り返り:3つの教訓
1. 『予行演習』でも、生活費の半分を投じない
練習という名目でも、実弾を使えば失った時の影響は本物。練習はデモ口座か少額で。
2. 退職前後の運用は、保守度を一段上げる
退職前後はキャッシュフローの大変動期。失った場合のリカバリー機会が極端に少ない。
3. レバレッジ5倍は『安全』ではない
退職前世代にはレバレッジ1倍(現物相当)が原則。それ以上は『練習』にもなり得ない。
Tさんの体験から、整理できること
編集者注:以下はTさん個人の体験から整理した視点で、当サイトからの投資助言・売買推奨ではない。投資判断は読者本人の責任で。
心理と反省ポイント
- ロスカットは保険であって敵じゃない。動かす方向を間違えると一晩で口座が空になる。
- 指標発表の前後は流動性が抜けて、設定したロスカット幅を素通りすることがある。
- 深夜の30分だけのトレードは、判断疲れが乗ったまま画面に向かう時間でもある。
もう一度選び直すなら
失敗した道具・口座・サービスを今からどう選び直すか。
比較記事で軸を整理してから動くと、同じ罠を踏みにくい。
専門家に相談する
ひとりで抱えると判断が鈍る。
被害の状況や生活設計の悩みは、その道のプロに早めに話す方が結果的に軽くなる。