夫名義の口座から980万円、FXで溶かしたことが2024年8月にバレた50代主婦の話
千葉県の50代主婦Kさん(仮名)が、夫名義の定期預金から無断で980万円を引き出してFX運用。2024年8月5日の日銀利上げショックで全損。夫が定期預金の解約通知を見て発覚し、離婚調停に発展した。
Kさん(仮名・53歳女性・千葉県)から届いた話。夫名義の定期預金から無断で引き出した980万円を、2024年8月5日の日銀利上げショックですべて失い、離婚調停に発展した経緯。
取材は2024年秋に開始。Kさんが弁護士同席の上で、家庭裁判所での記録の一部を含めて掲載に同意してくれた。地名・夫の勤務先以外は実情を残してある。
5年前に始めたFX
Kさんは2019年から、自分のヘソクリ100万円でFXを始めていた。夫には伝えず、毎月のスワップ収入と少額の利益を、自分専用の口座にコツコツ貯めていた。2023年末時点で、運用元本100万円が約220万円に育っていた。
「夫は地方銀行員で、家計は厳しく管理されている。私の自由になるお金は月3万円のお小遣いだけ。FXのスワップ収入は、私の生活を少し豊かにしてくれていた」
2024年7月の判断
2024年7月末、日銀が利上げを発表してドル円が155円台から152円台に下落。Kさんは過去5年の経験から、「ここは買い場」と判断した。手元の220万円ではポジションが小さい、と感じた。
夫名義の定期預金(約1,200万円)を思い出した。夫が3年前に契約したもので、満期はまだ先。中途解約しても元本割れはほぼない。
Kさんは、家計の銀行手続きをすべて任されていた。夫の通帳・印鑑・キャッシュカードはすべてKさん管理。窓口で本人確認書類を求められた場合、夫の運転免許証コピーを持参すれば足りる、と知っていた。
8月1日、Kさんは夫名義の定期預金から1,000万円を中途解約。Kさん名義のFX口座に、980万円を入金した(解約手数料・手元現金分20万円差し引き)。
8月5日のロスカット
8月5日(月)、ドル円急落。Kさんの口座は午前11時に強制ロスカット執行。残高約12万円。実質損失約968万円。
Kさんはその日、夫に何も話せなかった。「来週の相場で取り返せるかもしれない、と思った」
定期預金解約通知
8月8日、夫宛てに銀行から「定期預金解約のお知らせ」のハガキが届いた。郵便を取り込んだのは夫だった(その日Kさんは買い物中)。
夫はその場でKさんに電話。「今日来た銀行のハガキ、なんで定期解約してるの?」
Kさんはその時、車を運転中だった。電話で取り繕おうとしたが、声が震えていた。夫は「今すぐ家に帰ってきて、口座の通帳と印鑑、見せて」と言った。
夫への告白
その日の夕方、Kさんは家でFX口座のスマホ画面、定期預金解約証書、過去5年の取引履歴を、すべて夫に見せた。
夫は最初、無言だった。1時間ほど経って、「離婚するから、明日弁護士に行く」とだけ言った。
翌日、夫は実際に弁護士事務所に行き、離婚調停の準備を始めた。Kさんも別の弁護士に相談。離婚調停は2024年10月から始まった。
離婚調停の経緯
調停では、Kさんの行為が「夫婦間の財産共有規定」に違反するか、刑事事件(窃盗・私文書偽造)に該当するかが争点になった。
結果、夫名義の定期預金からの引き出しは、夫の事前了解なしに行われており、夫婦財産制度上の重大な信頼破壊行為と認定された。一方で、Kさんが日常的に夫の銀行手続きを代理していた経緯から、刑事告訴は見送られた。
離婚は2025年初に成立。財産分与では、Kさんが現在持っている資産(約220万円)を夫に渡し、別途慰謝料200万円を5年分割で支払うことで合意した。
その後
Kさんは離婚後、千葉県内のアパートに転居。パート勤務(スーパー・週4日)で月収約9万円。慰謝料の月割り3.3万円を引いた手取り約5.7万円で生活。
子供(大学生)は当面父親側に住むことになった。Kさんは子供との面会は月1回。
FXは廃業。再開する予定はない。
振り返り:3つの教訓
1. 配偶者名義の口座は、配偶者の事前了解なしに動かさない
たとえ家計を任されていても、配偶者名義の財産の処分には、その都度の事前了解が必要。「事後で説明すれば大丈夫」は、夫婦間の信頼を破壊する。
2. ヘソクリFXの『成功体験』は、大型化の根拠にならない
少額で5年運用が成功したから、大型化しても成功するとは限らない。むしろ大型化はリスクの絶対額を上げる。少額の成功は、少額のままで継続する。
3. 配偶者に隠す投資は、配偶者を裏切っている
金額の大小ではなく、隠している事実そのものが、夫婦関係を蝕む。話せないなら始めない。始めるなら話す。
Kさんの体験から、整理できること
編集者注:以下はKさん個人の体験から整理した視点で、当サイトからの投資助言・売買推奨ではない。投資判断は読者本人の責任で。
心理と反省ポイント
- ロスカットは保険であって敵じゃない。動かす方向を間違えると一晩で口座が空になる。
- 指標発表の前後は流動性が抜けて、設定したロスカット幅を素通りすることがある。
- 深夜の30分だけのトレードは、判断疲れが乗ったまま画面に向かう時間でもある。
もう一度選び直すなら
失敗した道具・口座・サービスを今からどう選び直すか。
比較記事で軸を整理してから動くと、同じ罠を踏みにくい。
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被害の状況や生活設計の悩みは、その道のプロに早めに話す方が結果的に軽くなる。