株式

定年退職後に始めた米国個別株、ハイテク株集中投資で580万円失った63歳元教員の話

群馬県の63歳元中学校教員Tさんが、定年退職時に始めた米国個別株投資。退職金1,800万円のうち1,200万円を米国ハイテク大手3社に集中投資した結果、ハイテク株調整局面で評価額が約580万円減少した経緯。退職金集中投資特有のタイミングリスクと、再分散判断までの記録。

属性63歳男性・群馬県 損失額¥5,800,000-
約 5 分で読めます(2,384字)
目次
  1. 退職前の準備:投資本3冊
  2. 1,200万円の米国ハイテク3社集中投資
  3. 初年度の含み益
  4. 2025年1月、調整局面の始まり
  5. 長男からの指摘
  6. 再分散の判断
  7. 家族の運用方針の再構築
  8. 取材時点の判断
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Tさん(仮名・63歳男性・群馬県在住・元中学校教員)から届いた話。定年退職時に始めた米国個別株投資で、退職金1,800万円のうち1,200万円を米国ハイテク大手3社に集中投資した結果、ハイテク株調整局面で評価額が約580万円減少した経緯。退職金集中投資特有のタイミングリスクと、再分散判断までの記録。

退職前の準備:投資本3冊

2024年1月、定年退職の3か月前、Tさんは退職金の運用について情報収集を始めた。
『現役中は教員共済の積立だけで、個別の投資判断はしてきませんでした。退職金1,800万円をどう運用するか、本で勉強しようと書店に通いました』
当時購入した投資本3冊のうち、最も影響を受けたのが『定年後の米国株運用』というタイトルの書籍。
『米国は人口増加と経済成長が続く、過去30年の長期リターンが日本株より圧倒的に高い、ハイテク大手は世界経済の中心、という論調でした。本に書かれていた個別銘柄の推奨を、退職時の運用の核にしようと決めました』

1,200万円の米国ハイテク3社集中投資

2024年3月、Tさんは定年退職。退職金1,800万円が振り込まれた。
4月、ネット証券口座を開設して米国株の取引を開始。本の推奨に従って、米国ハイテク大手3社に集中投資した。

  • 銘柄A(クラウド大手):400万円
  • 銘柄B(半導体大手):400万円
  • 銘柄C(ソフトウェア大手):400万円
  • 合計投資額:1,200万円
  • 残り:銀行預金600万円

『退職金の3分の2を米国株に入れた形です。残り600万円は妻と相談して、年金支給開始までの生活費として銀行に置きました。妻は『1,200万円も米国株に入れて大丈夫なの』と心配していましたが、私は『本の推奨と長期目線で問題ない』と説明しました』

初年度の含み益

2024年4月から12月、米国ハイテク株は引き続き上昇基調だった。
Tさんの保有銘柄の評価額の推移:

  • 2024年4月:1,200万円(購入時)
  • 2024年6月:1,278万円(+6.5%)
  • 2024年9月:1,335万円(+11.3%)
  • 2024年12月:1,392万円(+16.0%)

『8か月で約192万円の含み益。月当たり約24万円のペースで増えていく感覚に、退職後の運用としては大成功だと判断しました』

2025年1月、調整局面の始まり

2025年1月、米国ハイテク株は調整局面に入った。
背景には、生成AI関連企業の業績見通しが市場予想を下回ったこと、米国金融政策の引き締めが想定より長引いたこと、半導体需要の見通し低下、などが重なっていた。
Tさんの評価額の推移:

  • 2025年1月:1,335万円(+11.3%)
  • 2025年3月:1,224万円(+2.0%)
  • 2025年6月:988万円(-17.7%)
  • 2025年10月:620万円(-48.3%)

『1年で評価額が半分になりました。1,200万円が620万円。妻には『下がっているが、長期目線で持ち続ける』と説明しましたが、妻は『あと半分減ったら年金生活が成立しなくなる』と心配を強めました』

長男からの指摘

2025年10月、長男(38歳・会社員)が帰省した際、Tさんは運用状況を共有した。
長男はNISAでインデックス投信を5年運用していた。Tさんの保有銘柄を見て、長男はいくつかの指摘をした。
『長男からは『3社とも同じセクター(ハイテク)に集中している。分散の効果が出ない設計』『個別株は、ETF・インデックスファンドより値動きが激しい。退職金の60%を入れる商品ではない』『長期目線で持つなら、銘柄選定は本ではなく企業の財務指標・成長性・業界動向を自分で分析する必要がある。本の推奨を1年後にそのまま信じるのは難しい』との話が出ました』

再分散の判断

Tさんは妻と長男と相談して、ハイテク3社の保有を一部解約することにした。
解約方針:銘柄Aを全額解約(評価額200万円)、銘柄Bを半分解約(評価額110万円)、銘柄Cは保有継続(評価額310万円)。
解約資金310万円の再配分:

  • 米国全世界株インデックス(VT相当):200万円
  • 日本株インデックス:50万円
  • 銀行預金(生活防衛資金):60万円

『集中投資から、インデックス+生活防衛資金の組み合わせに切り替えました。残った銘柄Cは長期目線で保有継続です。確定した実質損失は約580万円。1,200万円が620万円になり、解約と再配分でこの先の運用を改めて組み直しました』

家族の運用方針の再構築

2025年11月、Tさんは妻と運用方針を文書化した。
『運用方針の文書:1)退職金の50%以上を1商品・1セクターに集中させない、2)個別株は退職金の10%以下に抑える、3)残りはインデックス投信中心、4)運用判断は妻と毎月共有する、5)追加の投資判断は一晩持ち帰る』
『現役時代に投資判断をしてこなかった分、退職後の最初の1年で失敗した形になりました。1,200万円を一気に米国ハイテク3社に集中させた判断が、結果的に580万円の代償につながりました』

投資本の銘柄推奨をそのまま信じて1,200万円を投入したが、本が書かれた時点の市場環境と、実行時の市場環境にはズレがあった。本の出版から購入まで、購入から投資判断まで、それぞれにタイムラグがある。タイムラグの間に市場環境が変わるリスクは、退職金集中投資で最も避けるべき構造の一つ。

取材時点の判断

2025年12月、Tさんは現在の運用ポートフォリオを継続している。
『残った銘柄Cは長期保有(評価額310万円)、インデックス投信(合計250万円)、生活防衛資金(660万円)。退職金の合計運用資産は約1,220万円で、退職時の1,800万円から580万円減りました。年金支給開始まであと1.5年、月10万円程度の取り崩しで暮らせる設計に切り替えました』
妻との運用方針の月次共有も継続中、と。

LESSONS & CONSIDERATIONS

Tさんの体験から、整理できること

編集者注:以下はTさん個人の体験から整理した視点で、当サイトからの投資助言・売買推奨ではない。投資判断は読者本人の責任で。

A
REFLECTION

心理と反省ポイント

  • 投資本の銘柄推奨は出版時点の市場環境に基づく。本の出版から購入・実行までにタイムラグがあり、その間に環境が変わるリスクが構造的に大きい。
  • 退職金の60%を3銘柄・1セクターに集中させると、調整局面で評価額が半減するリスクが現実化する。分散の前提は『複数セクター・複数地域・複数商品』。
  • 個別株は値動きがインデックスより激しい。退職金運用では、個別株の比率は10%以下を上限に設計する。
B
PRACTICAL CHOICE

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C
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