ビットコインが230万円から34万円に暴落、580万円失った30代エンジニアの話
都内のITエンジニアKさん(仮名・30代男性)が2017年末のビットコインバブルで580万円を投入し、510万円を失うまでの8か月。最初の深夜の入金から、親族への3年の返済までを本人の言葉で記録。
「評価額が690万になった画面、スクショして残してたんです。いま見返すと、あれが天井だった。人生でいちばん金持ちだった年末です」
取材の終盤、Kさんはそう言って少し笑った。都内でITエンジニアとして働く30代の男性。2017年の暮れ、580万円を暗号資産に入れ、8か月後に70万円だけ取り戻して市場を去った。
同僚の雑談と、億り人の動画
始まりは2017年の秋、職場の昼休みだった。隣の席のエンジニアが「ビットコイン、また上がってる」と画面を見せてきた。当時1BTC=約100万円。「年末までに200万はいく」という話が、技術系の職場では半分冗談、半分本気で飛び交っていた。
Kさんは当時、社会人2年目。一人暮らしで、貯金は300万円ほどあった。
その夜、なんとなくYouTubeで検索した。出てきたのは『億り人』のストーリー動画。数十万円が数億円になった人の話を、2本、3本と続けて見た。
「再現性があるとは思ってなかったです。ただ、乗り遅れてる、とは思った」
最初の入金は、深夜だった
10月のある晩、Kさんは国内取引所で口座を開設する。手続きは想像よりずっと簡単だった。最初の入金は約116万円。深夜の自室、PCの前。
「金額を打ち込むとき、手が震えるかと思ったら、全然だった。ゲームの課金と感覚が変わらなかった。それがいちばん怖かったと、いまは思います」
月内に追加の入金を重ね、計300万円分、約3BTCを買った。貯金のほぼ全部。それでも当時の感覚は「貯金を別の口座に移しただけ」だったという。
3か月で2倍、評価額690万円
11月、ビットコインは120万円を超えた。12月に入って200万円。12月中旬には230万円に到達し、Kさんの3BTCは評価額およそ690万円になった。
3か月で2倍超。画面の数字は、月給の何倍ものペースで増えていく。
「下がる理由を探すほうが難しかったんですよ。テレビでも特集してたし、周りも買い始めてたし。むしろ、なんでみんな買わないんだろうって本気で思ってました」
ボーナスの100万円と、借りた180万円
年末、冬のボーナスから100万円を追加した。迷いはなかった。
年が明けてすぐ、親族から180万円を借りて、それも入れた。借りる理由は、正直には話さなかった。総投入額、580万円。
「いま振り返ると、ここが分岐点でした。自分の金が増えるのと、借りた金で増やすのは、まったく別のことなのに、画面の中では同じ数字に見えるんです」
230万円が34万円になるまで
2018年1月、230万円を天井に急落が始まった。1月末、120万円。
「最初は『また戻るやつ』だと思ってました。下がるたびに、戻ったときの利益を計算してた。計算してる間は、不安を感じなくて済むから」
3月、85万円。この頃から、アプリを開く回数が減っていく。見なければ、損は確定しない。そういう理屈だけが頭に残っていた。
6月、Kさんは1BTC=約75万円で全部を売った。回収できたのは約70万円。投入した580万円との差し引きで、実質およそ510万円が消えた。8か月の出来事だった。
「売った日のことは、あんまり覚えてないんです。覚えてるのは、その夜やけによく眠れたこと。ああ、終わったんだ、って」
ビットコインはその後も下げ続け、その年の暮れには34万円をつけた。Kさんが手放した値の、さらに半値以下。ただ、それを「助かった」と感じる余裕は、当時のKさんにはなかった。
580万円の行き先
| 投入総額 | 580万円(貯金300万+ボーナス100万+親族からの借入180万) |
|---|---|
| ピーク評価額 | 約690万円(2017年12月中旬・1BTC=230万円) |
| 売却・回収額 | 約70万円(2018年6月・1BTC=約75万円) |
| 実質損失 | 約510万円 |
3年かけて返したもの
親族からの180万円は、毎月の給料から3年かけて返した。何に使った金だったのか、打ち明けたのは返し終わる頃だったという。
「返済の3年で、金銭感覚が作り直された気がします。500万失った経験より、180万を毎月返した経験のほうが、たぶん自分を変えてる」
暗号資産は、あれから一度も買っていない。いまは本業のスキルアップに集中して、自治体の消費者教育講座にも顔を出す。バブルとはどういうものか、身体で覚えた。Kさんの8か月は、本人のその一言に集約されている。
Kさんの体験から、整理できること
編集者注:以下はKさん個人の体験から整理した視点で、当サイトからの投資助言・売買推奨ではない。投資判断は読者本人の責任で。
心理と反省ポイント
- 上昇局面の「次の半値」は来る。逃げる速度は買う速度より遅い、と知っておく。
- 出金完了するまでは「利益」ではない。取引所のホット枯渇・規制で凍結することがある。
- 「お前にだけ教える」「上場前」「LINEグループで限定公開」は、ほぼ全部詐欺の入口。
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