不動産

地方の築古アパート1棟、表面利回り15%の謳い文句で買って4年で持ち出し総額890万円の話

千葉県の50代男性Jさんが、不動産投資YouTubeで知った業者から購入した北関東地方都市の築古木造アパート1棟。表面利回り15%という数字に惹かれて4,200万円で購入したが、空室と修繕費で4年間の累計持ち出しが約890万円になった経緯。地方の高利回り物件特有の構造リスク記録。

属性53歳男性・千葉県 損失額¥8,900,000-
約 5 分で読めます(2,401字)
目次
  1. 不動産投資YouTubeで業者を知った
  2. 業者からの提案内容
  3. 現地視察と判断
  4. 購入後1年目、想定通りに見えた
  5. 2年目から空室が増えた
  6. 3年目、修繕費が直撃
  7. 4年目、持ち出しの累計が見えた
  8. 売却を検討した結果
  9. 取材時点の判断
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Jさん(仮名・53歳男性・千葉県在住・製造業課長職)から届いた話。不動産投資YouTubeで知った業者から購入した北関東地方都市の築古木造アパート1棟が、4年間で約890万円の累計持ち出しになった経緯。表面利回り15%という数字の裏側にあった、地方築古物件特有のリスク構造の記録。

不動産投資YouTubeで業者を知った

2021年春、Jさんは老後資金の運用方法を調べるなかで、不動産投資系のYouTubeチャンネルを複数視聴するようになった。
そのうちのひとつのチャンネルで紹介されていたのが『地方の築古アパート1棟買い』戦略だった。
『都内のワンルームは利回り4-5%だけど、地方の築古一棟物件なら表面利回り15%以上を狙える』『キャッシュフローが厚いから、空室があってもプラスで回せる』という話だった。
動画の概要欄に貼られていた紹介リンクから、紹介された業者に問い合わせをした。

業者からの提案内容

業者の担当者(40代男性・地方の不動産業者出身)から提案されたのは、北関東の地方都市にある築28年・木造2階建てアパート1棟(8戸・全室1K)。提示された数字はこうだった。

  • 物件価格:4,200万円
  • 表面利回り:15.7%(年間家賃660万円÷物件価格)
  • 頭金:400万円
  • 融資:地方銀行系(金利2.5%・25年)
  • 月々のローン返済:17万円
  • 満室時家賃収入:55万円
  • 満室時キャッシュフロー:月38万円(修繕積立・税金引いて約25万円のプラス)
  • 築年数による減価償却で大幅な節税効果

『満室なら月25万円の手取りが出ます。仮に2戸空室でも月10万円台のプラスは確保できます』という説明だった。
業者から提供された資料には、過去3年間の入居率推移として『満室期間が長く、平均稼働率92%』という数字が載っていた。

現地視察と判断

2021年6月、Jさんは妻と現地に行って物件を見た。物件は地方都市の駅から徒歩15分、周辺は古い住宅街だった。外観は塗装が経年で薄くなっていたが、業者からは『3年前に大規模修繕済み』と説明されていた。
内見できた1部屋(空室)は、リフォーム済みで床も壁も新しかった。
『現地を見て、業者の人柄も信頼できそうで、現地で『買います』と意思表示しました。妻は『大丈夫なの』と少し心配していましたが、月25万円の収入で月のローン返済を超えるなら、と納得してくれました』

購入後1年目、想定通りに見えた

2021年8月、契約完了。頭金400万円を入れ、ローン3,800万円が実行された。
1年目の運用記録は以下。

  • 入居率:購入時6/8戸入居(75%)
  • 家賃収入:年478万円
  • ローン返済:年204万円(うち利息分95万円)
  • 管理費・修繕積立:年45万円
  • 固定資産税:年28万円
  • 火災保険:年12万円
  • キャッシュフロー:年189万円のプラス

満室ではなかったが、月15万円台のプラスが出た。Jさんは『業者の説明通りだ』と思っていた。

2年目から空室が増えた

2023年4月、入居者2戸が同時退去。原因は『近隣に新築の安いアパートができた』『勤め先の異動』との説明だった。
退去後、業者の管理会社経由で募集を続けたが、空室期間が長引いた。理由は複数あった。地方都市の人口減少が想定より速かったこと、近隣に新築物件が増えていたこと、築28年の木造アパートが家賃下落圧力を受けやすかったこと。
2023年12月時点、入居率は4/8戸(50%)まで下落。年間家賃収入は約290万円まで減った。

  • 2023年家賃収入:290万円
  • ローン返済:204万円
  • 諸経費:85万円
  • キャッシュフロー:年1万円のプラス(実質ゼロ)

3年目、修繕費が直撃

2024年5月、業者の管理会社から修繕の連絡が入った。屋根の雨漏り、外壁の塗装剥離、給湯器の交換が必要、と。
合計修繕費の見積:約280万円。
『業者からは『3年前に大規模修繕済み』と聞いていたんですけど、屋根と外壁は別の業者がやっていて、しかも見えない部分の老朽化が進んでいた、という説明でした』
修繕費280万円を全額自己負担で支払った。

4年目、持ち出しの累計が見えた

2025年8月、Jさんは4年間の累計収支を計算した。

  • 4年間の家賃収入累計:1,420万円
  • 4年間のローン返済累計:816万円
  • 4年間の諸経費累計:370万円
  • 3年目の修繕費:280万円
  • サブリース手数料・空室期間の管理費:約144万円
  • 差し引き:マイナス190万円

当初の頭金400万円と、4年間の累計持ち出し190万円、そして自分で投じた追加修繕費280万円と、税金処理に伴う追加費用約20万円を合計すると、累計実質持ち出しは約890万円になった。

売却を検討した結果

2025年9月、Jさんは複数の不動産業者に売却査定を依頼した。
築32年の木造アパート、入居率50%、近隣の新築物件で家賃下落圧力。査定額は最も高い業者で2,400万円。ローン残債は約3,200万円。
『売却すると、800万円台の自己資金を追加で入れてローンを完済する形になります。今すぐ売れば追加800万円、今後3年塩漬けすれば追加1,500万円コースになる可能性が高い、と業者に言われました』

表面利回り15%という数字は、満室時の話だった。地方の築古物件は満室を維持するための前提条件が崩れやすく、空室と修繕費が同時に来ると一気に持ち出しになる。

取材時点の判断

2025年10月、Jさんは妻と相談して、追加800万円の自己資金を入れて売却することに決めた。
『これ以上塩漬けにしても、地方の人口減少と建物老朽化で物件価値はさらに下がる方向です。傷が浅いうちに切ります。退職金から800万円を入れて、ローン残債を消す方針です』
YouTube動画と業者の数字を信じすぎたのが原因、と本人は言うが、業者の提示した『過去3年の稼働率92%』が信用できる数字だったかを検証する手段は購入前にはなかった、とも振り返っている。

LESSONS & CONSIDERATIONS

Jさんの体験から、整理できること

編集者注:以下はJさん個人の体験から整理した視点で、当サイトからの投資助言・売買推奨ではない。投資判断は読者本人の責任で。

A
REFLECTION

心理と反省ポイント

  • 地方の築古物件の『表面利回り15%』は満室時の数字。地方都市の人口減少と新築物件競合で、稼働率は購入後すぐに崩れることが多い。
  • 業者提供の『過去3年の稼働率92%』のような数字は検証手段がほぼない。購入前に近隣の入居率データを自分で取らないと判断できない。
  • 築古木造物件は3〜5年単位で大規模修繕が来る。屋根・外壁・給湯器・配管。1回数百万円単位の出費が想定外で発生する。
B
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