X(旧Twitter)のDM経由『未上場NFTで10倍確実』、80万円送金して相手が消えた35歳会社員の話
東京都の35歳男性会社員Sさんが、X(旧Twitter)のDMで『未上場NFTで10倍確実』を謳う相手と知り合い、暗号資産プラットフォーム経由で80万円を送金、相手のアカウント消失で被害が確定した経緯。X NFT詐欺の典型的な構造と、被害発覚後の追跡が困難な暗号資産送金の実態を本人取材で記録。
Sさん(仮名・35歳男性・東京都在住・IT企業エンジニア)から届いた話。X(旧Twitter)のDMで『未上場NFTで10倍確実』を謳う相手と知り合い、暗号資産プラットフォーム経由で80万円を送金、相手のアカウント消失で被害が確定した経緯。X NFT詐欺の典型構造と、被害発覚後の追跡困難の実態を記録する。
X上のNFT情報アカウントとの遭遇
Sさんは2024年から暗号資産取引(主にビットコイン・イーサリアム)を月3〜5万円ペースで継続していた。資産は約120万円に育っていた。
2026年2月、Sさんは新しい投資対象を探してX上でNFT関連のキーワード検索をしていた。
『暗号資産は値動きが落ち着いてきていて、もう少し攻めの選択肢を増やしたい、と思っていました。XでNFTの情報を発信しているアカウントを複数フォローしました』
個別DMでのアプローチ
フォローから2週間後、フォロー中のNFT情報アカウントの一つから個別DMが届いた。
『相手の自己紹介:海外在住の30代男性、NFTの開発・販売に関わっている、未公開プロジェクトの情報を持っている、と。プロフィール画像は本人の顔写真風、アカウント開設は2年前、フォロワー約1,200名でした』
DMの内容は、最初は雑談から始まった。Sさんが暗号資産取引の経験を話すと、相手は『そういう経験がある人にだけ話している案件がある』と切り出した。
『未上場NFTで10倍確実』の話
相手から提示された案件の概要:
- 未上場のNFTプロジェクト(具体名は伏字)
- 現在の販売価格:1点あたり約8万円
- 正式ローンチ後の想定価格:1点あたり80〜100万円(10倍以上)
- ローンチ予定:2026年4月(あと1か月)
- 『プレセール枠は限定50名、私の紹介枠で10名分まで案内可能』
- 支払い方法:暗号資産(イーサリアム)送金
『1か月後にローンチで10倍、という話の論拠として、過去のNFTプロジェクトの値上がり事例(複数)と、運営側のロードマップ資料が提示されました。資料の品質は高くて、英語のホワイトペーパーも添付されていました』
10点購入で80万円送金
2026年3月、Sさんは妻に相談せず、暗号資産口座から80万円相当のイーサリアムを送金した。
『相手から指定された送金先のウォレットアドレスに、10点分(80万円相当)を送金しました。送金完了から数時間後、相手から『NFTの所有権を確認した、ローンチ時に自動的にあなたのウォレットに転送される設計です』との連絡がありました』
送金から1週間、相手とは雑談を含む通常のDMやり取りが続いた。Sさんは特に違和感を持たなかった。
2週間後、連絡が途絶えた
送金から2週間後、相手からのDMが急に途絶えた。
『最後のDMは『プロジェクトの進捗を共有します』というメッセージでした。それ以降、Sさんからのメッセージに既読がつかなくなりました』
1週間後、相手のXアカウントが『アカウントが見つかりません』表示に。
『プロジェクトの公式アカウントとされていたXアカウントも同時に消失していました。ホワイトペーパーが置かれていたサイトも、アクセスできなくなりました』
送金先ウォレットの追跡
2026年4月、Sさんは送金先のウォレットアドレスを暗号資産トラッキングサイト(Etherscan等)で確認した。
『送金先のウォレットは、私の送金後に複数の別ウォレットへ資金が分散されていました。最終的に複数の海外暗号資産取引所のホットウォレットに流れ込んでいて、追跡が極めて困難な状態でした』
暗号資産取引所のホットウォレットは、複数のユーザーの資産が混在しているため、特定のユーザーへの送金を遡る手段が事実上ない。
消費生活センターと警察への相談
2026年4月末、Sさんは消費生活センター(188)と警察に被害申告した。
消費生活センターの相談員からは『暗号資産送金経由の詐欺は、追跡と回収が構造的に困難』との説明があった。
警察からは『同様の手口の被害申告が累積している、捜査の優先度は被害者数の集積で決まる、現時点では個別の追跡は難しい』との回答だった。
『国内法での回収可能性はほぼゼロ、と現実的に判断するしかありませんでした』
妻への報告
2026年5月、Sさんは妻に経緯を打ち明けた。
『妻から『なんで一人で決めたの』と言われました。家計の貯金から80万円を独断で動かしたことが、家計の透明性を破壊する判断だった、と妻に指摘されました』
家計の透明化を進めるため、暗号資産口座と銀行口座の状況を妻と共有スプレッドシートで管理する形に切り替えた。
X NFT詐欺の典型パターン
Sさんは取材の中で、X NFT詐欺の典型構造を整理した。
『1)X上のNFT情報アカウントからフォロワーへの個別DM、2)海外在住・NFT業界関係者を名乗る自己紹介、3)『未上場NFTで10倍』『限定紹介枠』というキーワード、4)暗号資産送金経由の支払い、5)送金後数週間で相手アカウント消失。この5段階が完全に揃ったケースが、X上で繰り返し報告されています』
『被害者の間で情報共有を試みても、相手のアカウントが消失している以上、特定が極めて困難という状況です』
X上のNFT詐欺は、暗号資産送金経由のため追跡が極めて困難で、被害発覚後の回収可能性はほぼゼロに近い。判断軸は『暗号資産送金を求められた時点で立ち止まる』『送金前に第三者と相談する』の2点。
取材時点の判断
2026年6月、Sさんは暗号資産取引を一旦停止している。
『現物のビットコイン・イーサリアムの保有は継続中ですが、新規の取引と新興プロジェクトへの投資は全停止しました。NFT関連のXアカウントは全てフォロー解除済みです』
家計の透明化は妻との共有スプレッドシートで継続中、と。
Sさんの体験から、整理できること
編集者注:以下はSさん個人の体験から整理した視点で、当サイトからの投資助言・売買推奨ではない。投資判断は読者本人の責任で。
心理と反省ポイント
- X上のNFT情報アカウントからの個別DMは、X NFT詐欺の典型的な入口設計。『未上場』『10倍』『限定紹介枠』のキーワードが揃ったら詐欺の可能性を疑う。
- 暗号資産送金経由の取引は、被害発覚後の追跡が極めて困難。送金先のウォレットから資金が分散されると、最終的な受取人の特定が事実上不可能になる。
- ホワイトペーパーや公式サイトの品質が高くても、それは信頼性の根拠にならない。テンプレ化された詐欺プロジェクトの資料は、一見して品質が高い。
- 暗号資産送金を求められた時点で『一度立ち止まる』判断が現実的。送金前に第三者(家族・友人)と相談する手間を必ず経る。
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